そんなときだった。
お母さんが死んだのは。

幼いわたしでも分かった。
何も言われなくても分かってしまった。
お母さんはお父さんを追って自殺をしたという事実が。

目の前が真っ暗になるというのは、こういうことを言うんだと改めて感じた。

わたしはもう絶望的だった。
だけど涙は出なかった。
まるでそのことを前々から知っていたかのように、わたしはその事実をすんなりと受け入れた。

そんな自分が嫌だった。
泣けない自分が人間じゃないような気がして、きもちわるくて。

家族を失って、友達を失って。
話しかける相手もいなければ、笑いかける相手もいない。

本当に孤独になってしまった。