段々と、視界がクリアになっていく。

「更紗、いつまで寝てるつもり?」
「これじゃ遅刻決定だね」

ああ、眠っていたのか。
そう思い目を擦ると、そこにはありえない人物がいた。

「ま、舞香?! それに、ミヅキも!」

おそようさん、とからかうようにミヅキが言う。
更沙のせいだよ、と舞香が口を尖らせる。

ここは、家?
わたしは体育館にいるはずなのに。
それに二人とも、死んだ……はず、なのに。

「何驚いてんの? もしかして更紗、休日と間違えてる?」
「そうかもね。ほらほら、早く起きて」

わたしを起こそうとして舞香が動くと、それと連動してツインテールも揺れた。
ミヅキがハンガーにかかっていたわたしの制服を手に取り、わたしに手渡した。

「もう今日は遅刻決定だからなぁ……」
「サボっちゃおうよ! 受験シーズンに入る前に、うんと遊ぼう!」
「おっ、いいねぇ! ほら、更紗早く着替えなよ!」

目の前で起きていることがよく理解できないまま、わたしは制服に袖を通し、ご飯も食べずに家を出た。