「柳川、お前、大丈夫か」
「大丈夫って、なにが」

思い出した。
だけど涙は出なかった。
まだ理解していない、否、したくなかったから。

現実逃避。
絶対に舞香が死んだことなんて認めない。

わたしは意地を張って、頑なにその事実を拒否した。
やはりわたしは、なにも受け入れられない、弱虫なのだ。

「柳川……」
「やめてよ、そんな声で名前を呼ぶのは」

哀れみを含んだその表情と声は、わたしを苛立たせた。