小学六年生の頃、わたしは数人のクラスメートにいじめられていた。
暴力などには発展しなかったものの、幼いわたしにとってそれはとても辛いことだった。
命の重さを知らないわたしは、自殺を試みることもあった。

勇気を振り絞って先生に相談してみたが、状況は何も変わらなかった。
むしろ悪くなる一方だった。

お母さんには言わなかった。
お父さんが他界してしまって心に傷を負っていたから、これ以上負担はかけさせられなかったのだ。
自分で言うのも何だが、わたしは親孝行な娘だったと思う。

そうえいばよく親戚に言われた。
わたしは年齢にそぐわない難しいことを考える大人びた子だ、と。
その言葉は嬉しい反面、寂しかった。
わたしだってお母さんに思い切り甘えたかったけど、お母さんは自分のことでいっぱいで、わたしのことを気にしている余裕さえなかったのだ。

わたしは一生懸命勉強して、私立の中学校に行った。
お母さんを喜ばせるためもあったが、半分はいじめから逃れたいがためだった。