自然と笑みが零れる。
こうやって無意識に笑うなんて、久しぶりだった。

「そうだっ! もし戻れたら、三人でどっか行こうよ!」
「いいねぇ、それ」
「え、女二人に対して男一人ですか? ちょっとそれは……」
「いいじゃん。ハーレムっていうことで」
「ようし、決定!」

もし、もし戻れたら。
こうやって今の状況を笑い話にすることができたら。

どんなに幸せだろう。

周りも見えない暗い体育館の中、わたしはそんなことを思っていた。
その声色から窺える二人の表情は明るく、わたしの心の中まで明るくなっていった。