「ったいなぁ……何するのよ、いきなり」

わたしは起き上がると頭を擦りながら舞香に文句を言った。
だけど怖くて舞香の顔を見られなかった。
さっき突き飛ばされる瞬間に見えた、恐怖や苦痛といった負の感情に怯えた表情を見るのが嫌で。

そんなとき、わたしの頭の中を真っ白にしてしまうほどの叫び声が聞こえた。
いきなりのことに、反射的に顔をあげた。

そこには、涙を垂れ流してガラスの破片を振り回している舞香がいた。


「早く殺してよ! わたしを、わたしを殺せ!」


発狂。いや、違う。狂っているわけではない。
もう投げやりになっている。
死にたいというよりも、どうにでもなれという感じだった。

その舞香の気持ちはよく分かった。
自分の思い通りにいかなくて、苛々して、だけどそれから解放される術なんて知る由もなく。

放り投げたい気分。
後先なんて考えず、全てを破壊したい気分。
昔のわたしと、同じ。