ノートを見ながら、次はどうアドバイスしようかな…と考えていると、彼もノートを覗き込んできた。



「うわ…×ばっかじゃん」

「でも、前より安定してきてるよ?」

「マジ?」

「うん。頑張ってね」



私がフォローすると、彼は嬉しそうに笑って、またスポーツドリンクを飲む。


…まあ、安定してきているのは本当なんだけど…。



「──よしっ!!また練習してくる!」


手に持っていたドリンクとタオルは私に預け、笑顔で立つ彼。


「…頑張って。膝、忘れちゃだめだよ」


そんな彼に苦笑い混じりにそう助言すると、「わかってる!」とまた笑顔で走り去って行く。


(……ほんとに、ちゃんとわかってるのかなー…)


私がそう思ってしまうのも、ちゃんと理由がある。

その理由とは─。



ガンッ

ガンッ


「あれー…?なんで入んねぇんだろう?」


彼は、私の助言は聞いてはくれている。


だけど。


何故か、頭より体が先に動くようなので…。



「あぁぁ!!また外れた…!」



進歩が、ちょっぴり遅い。