「携帯忘れるって…なにか慌ててたのか?」



呆れたような顔で私を笑う彼に、少しムッとしてしまう。


好きで忘れたわけじゃないし。

いつもはちゃんと持ち歩いて…るし。



「いつもは、ちゃんと持ち歩いてるもん」

「わ、果歩先輩怒ってる?」

「いや、怒ってないよ」



私が怒ったと思って焦っている彼が面白い。


でも、なんだろ。

彼は毎日平日は18時までにはこの公園に来ていて、土日は朝早くから来ていたときもあった。


じゃあ、私って…。


「ある意味、休みなし…?」

「?果歩先輩?」


今更だけど、ものすごい面倒なこと引き受けちゃった…。


そう思った途端、大きなため息が出て、彼が不思議そうな顔をして首を傾けたのだった。