『勝ちたい』
久しぶりにそう思った私は、スクッと立ち上がり、家の方へ歩いていく。
「ちょ…っ!?帰んの!?」
私の方を見て、焦る彼。
少し面白くて、私は小さく笑う。
「違うよ。靴を履き替えに行くだけだから」
ほら、と今履いているサンダルを彼に見せると、安堵したようにまたボールを回す。
やっぱり、ボールを回すことだけは上手い。
「なんだ。帰るのかと思った」
「まさか」
「だよな!早く行ってこいよ」
彼は手で私の家を指差し、ニコニコと笑う。
今、帰るのは憂鬱だけど…久しぶりにバスケがしたくなったんだから、仕方ない。

