「ふっ。ゆっくりでいいよ、別に」
扉の向こうから、そんな声が聞こえた。
ば、バレた……
って言うか、笑われた。
なんか、悔しい……
そう思いながらも、クローゼットにしまったばかりの服を取り出して着替えた。
ガチャン。
部屋からでるとすぐに視界に入るカナちゃん。
なんだかちょっと、暖かい。
普通の人には分からないかも知れないけど、家の中に人がいることがこんなにも暖かい。
見渡せば誰かが視界に入る安心感。
こんなにも些細なことだけど、私には些細じゃない。
「あ…終わった?」
ソファーに座っているカナちゃんが私をみる。
「ん……」
無愛想な返事しか出来ない私。
あーあ。
さっきまでは普通にはなせてたのに。
なんとなくガッカリする。

