冬に降る涙の雨。





チャプン。

「ふぅ………」

湯船に浸かりながら今日の出来事を思い出す。


今日は、カナちゃんに出会った日。

アパートの前でびしょ濡れになりながら、私を“迎えに来た”人。

怪しすぎるのに、家にあげてコーヒーまで出して……


“家においで”って言われてすんなりついて来て。

怪しいのに、カナちゃんを信じてしまったのは綺麗な瞳をしていたから。

グリーンの瞳は、綺麗なのに悲しそうだった。


それから、カナちゃんの車に乗ってこんな山奥まで来て、見ず知らずのカナちゃんの家にノコノコ入って、挙げ句の果てにはお風呂まで………



本当、何やってんだか。

だけど、不思議と嫌じゃない。
カナちゃんは全然、怖くない。

カナちゃんは私に何もしない。
なぜだか分かる。

カナちゃんは、悪い人なんかじゃないって…………