そのまま体育座りで顔をうずめてしまった和真君の事など露知らず、みな黙々と昼食を取っているので私もお弁当箱のつつみを解いた。


 あ、この唐揚げ成功だ。よっしゃ!

 そして時折会話を交えて(主に春川さんと)、私はお弁当を食べ終えた。

 ふう、満腹満腹。


「あのさぁー……」

「ん?」


 顔をうずめたままでいた和真君が口をひらいた。


「お前はやめなくていーから……」

「えっ何を?」

「さっき話してたやつ……」


 さっき話してた?
 私がさっき話してたのは……えっと、春川さんとしてた家電の話?


「……家電?」

「ちげーよなんだよ家電って!! もう小鳥遊なんて知らねーっ!!」


 うわあああぁ、なんて叫びながら和真君は教室を飛び出して行った。


「どうしたのあの人?」

「まあ、鈴奈ちゃんは気にしなくて良いよ」


 まあそういうなら気にしないでおこう。
 残された和真君のやきそばパンを見てそう考えるのであった。