ベニとでも名付けよう



ペンションに帰っても相変わらずジャムおじさんが笑顔で迎えてくれた。


しかし、2階の部屋にあがるとあるはずの母の美しき死体がそこにはなかった。


おじさんだ。


ふとそう思うと私は階段をかけおり叫んだ。


「おじさん!お母さんが、お母さんがいない。」


「こっちだよ」

そう言うとおじさんはロビーの方を指差した。


そこには真っ白に塗られ、全面に白い薔薇が貼り付けてある棺桶が横たわっていた。


その中に母は眠っているかのように綺麗な表情で収まっていた。


「おじさん、なぜ?何、この棺桶?」


「いやぁ、私が作ったんだ。笑わずに聞いてくれよ。私はあなたのお母さんを好きになってしまったんだ。恥ずかしいことに…」



「ちょっと待ってよ、おじさん!やっぱりおかしいよ。お母さんは死んでるんだよ!それなのに好きになったとか、警察に通報するなとか。私、どうにかしてたわ。」