ベニとでも名付けよう

母は死んだように眠っていた。


ほんとに死んだようだった。


窓を開けた。緑が匂う。母を起こす。


母はまだ死んでいる。

その母があまりにも綺麗すぎるからちょっと放っておきたくなる。

だがもう朝食の時間だ。


「おはようございます。朝食の準備ができましたよ。」

ジャムおじさんだ。

「おはようございます。でもまだお母さんが。」


おじさんも眠る母に見とれていた。


母は美しい。だから死んだなんて気づかなかったんだ。