9 いつもと変わらないけれど、どこか一線を引いている。 少しでも近付けば、交わすように逃げて。 それでも、態度は普段通り、子犬みたいにうざったくて、愛嬌がある。 せいぜいそんな同居生活を想定していた。 というか、そうなった方がまだお互いに安全だろうと思ったから、あんな脅しのような手段に出たのだ。 その、はずだった。 しかし鳴海の中に、『友人(同居人)に対して一線を引く』という概念は欠片もなかったのだと気付いたのは、しばらく――実に、二ヶ月ほど経ってからだった。