「咲良…こっち向いて?」
何もかも未経験な私は、
固まって動けない。
敬太先輩は
キスに慣れてるのかな…?
そう思うと少し寂しかった。
「え…?なんで?」
優しく握られている手は汗ばんでいた。
言葉を返すので
いっぱいいっぱい。
照れる私を見て
敬太先輩は笑っていた。
「カワイイなあ」
隙をつかれて、あごをクイッと引き寄せられた。
初めて触れた感触。
唇って、こんなに柔らかいんだ。
大好きな人が
こんなにも近くにいる。
反射的に
目を閉じていた。
たった2、3秒が
すごく長かった。
「緊張した?」
言葉が出なくて、大きく頷くことしか出来なかった。
「咲良の唇柔らかいな…やべえ!オレ…病み付きになりそう。」
忘れられない
ファーストキスだった。
でも
その三ヶ月後に
私はフラれた。
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