朝、いつもより早く起きた。



少しついていても平気な寝癖も、今日は念入りにアイロンで伸ばした。



三年間慣れ親しんだセーラー服。


短くしていたスカートには、折り目がついていた。



いつもと同じ時間に、紀ちゃんが家に来る。



「おはよう…!」


毎日そこから始まっていた。



今日で最後なんだね。








学校に着くと、女子はほとんどみんな来ていた。



集合時間まで、まだ1時間もあるのに…。



みんな、同じ気持ちなんだ…。


言葉では言い表せない寂しさがある。


同じ気持ちだから分かる。





時間はあっという間に過ぎ、卒業式が始まった。



先生は、昨日言っていた通り、体育館の後ろにいた。



卒業証書を受け取ったときに、この目で確認することが出来た。



保護者や在校生が体育館を出てから、学年の先生にサプライズで、「仰げば尊し」を歌った。



みんな歌なんかちゃんと歌えてなくて、大泣きしてて…先生たちもみんな泣いていた。



私は…我慢しすぎて泣けなかった。