「だけど。バスケットの選手としては、致命的だった」


「バスケットの、選手?」


「うん。

 おれ、これでもけっこう期待の選手だったんだよ」


生川先輩は、学ランのポケットに手を突っ込んで、ふぅ、と息を吐いた。


「だけどその怪我のせいで、入院して、リハビリして。

 激しい運動はできないって医者に言われて。

 もう、目の前真っ暗だよね。

 ずっと、バスケ一筋だったからさ」


生川先輩は、自嘲気味に笑ってみせた。


その苦笑に、どう答えればいいのかわからなくて、わたしは黙り込んでしまった。