「おれ……」 「ん?」 「おれがね、今、こうして笑っていられるの、あいつのおかげなんだ」 「え?」 生川先輩が思いのほか真面目にそう語ったので、思わず足を止めてしまった。 「実はね。おれ、ちょうど一年前の今頃、足を大怪我してさ」 「えっ!?大丈夫だったんですか?」 「うん……大丈夫、ではなかったかな」 「えぇっ!?」 「ああ。日常生活には支障ないよ。 ほら、こうして、歩いてるでしょ?」 生川先輩は、目を細める。