「そいつ、ブヒナって言うんだ」 胸キュンしている最中に、根岸先輩がにやにやしながらそう言ったので、我に返った。 「ブヒナじゃありません。ひなです」 一オクターブ低い声が出た。 「ひなちゃん。よろしく。おれは生川祐樹。根岸と同じクラスだ」 そう言って、スマートに手を差し出す。 わたしは吸い寄せられるように、その手を握った。 「こちらこそ、よろしくお願いします」 まるで、王子様だと思った。