へ?なに?


「ひなちゃん、いいのよ。ありがとう」


「いい子だなぁ。先輩のために獰猛犬(どうもうけん)に立ち向かっていくなんて」


浅野先輩とみさと先輩は、顔を見合わせて、うんうん、と頷いた。


な、なんか。


ひょっとして、暴走しちゃった?


は、恥ずかしいかも。


思わず両手で頬を包む。


「なんだよ、お前ら。あほらし。っていうか、俺を犬扱いするな。

 ったく、お前も照れてんじゃねぇよ」


「照れてるんじゃないです!」


わたしは、根岸先輩を視界に入れないように、目の前にあるミロのヴィーナスの胸像に集中した。