果物とスケッチブックを交互に行き来する鋭いまなざし。


前髪の隙間から見えるその上目遣いの瞳に、一瞬、ぞくっとしてしまった。


……いやいや。

ありえませんから。


こんな口の悪い自分勝手な人に一瞬でも胸キュンとか、ありえませんから。


「よし」


先輩は、鉛筆を置いて、ふうと大きく息を吐いた。


「やった!」


わたしは、中途半端な体勢を保っていた手を、だらりと垂らした。


「見せてください」