「根岸君みたいな怖そうな先輩がいたら、誰だって躊躇するわよ。

 ねぇ、ひなちゃん」


そう言ってくれたみさと先輩が、女神さまに見えた。


すかさず、うんうん、と大きく頷く。


「俺様のどこが怖いんだよ。意味わかんね」


根岸先輩は、不満げな表情を浮かべながら、イーゼルを立てる。


いやいや、「俺様」とか言ってる時点で、どうかと思いますけど。


言葉も乱暴だし。


「あんまりいじめちゃだめよ。やっと新入部員が来てくれたんだから」


「なんだよ。浅野も佐々木も。一年に気ぃ遣いすぎだっつうの」


根岸先輩はどさっと椅子に座った。