「あ、はい……」


「根岸君、口悪いからねぇ」


みさと先輩はしみじみと言った。


この場合、頷いてしまってもいいんだろうか。


そう思いながら、ぎこちない笑顔を作ると。


「そんなに気を遣わなくていいって。事実だから」


みさと先輩はくすくす笑う。


その笑顔が本当に柔らかで、ほっとさせてくれる。


「この前美術室に来た時、根岸先輩と部長さん、喧嘩になっちゃって。

 男同士の喧嘩を目の当りにしたの、初めてだったから、ちょっと怖かったんですよね」