ちらりと顔を上げると、部長さんは腕を組んでうつむいていて、根岸先輩は机にもたれて窓の外を眺めていた。 この気まずい空気、どうしよう。 ああ、まいったな。 「あの」 「なに?」 部長さんのその声はとても穏やかで。 「美術部の噂って、本当にただの噂なんですよね? やましいことなんて、何もないんですよね?」 「もちろんだよ」 部長さんはまっすぐわたしを見て、大きくうなずいた。