それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜



「無防備すぎるんだよ、お前は。にこにこしたり、顔を赤らめたりしたら、男は勘違いするだろうが」


ちっ、と吐き捨て、ジーパンのポケットに手を突っ込み、ひなを置き去りにしてさっさと歩を進めた。


ムカつく。


葉山がいい加減な野郎に見えなかったから、余計にムカつく。





その時。


後方からカラコロカラコロと小走りする下駄の音が聞こえ、そして。








きゅっ。








小指を掴まれた。


振り返ると。






「……うん」






ひなは照れくさそうにしながら、こくりとうなずいた。


俺と目を合わせるのが照れくさいのか、頬を赤くしたままうつむいている。






……ったく。


しょうがねぇ奴。






「ほら、行くぞ」






俺が指をしっかり絡ませると、ひなもきゅっと握り返してくれた――……。