それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜



そういえば。


ただ、会いに行かなくちゃと会場を飛び出したはいいけれど、何をどう伝えるかまでは何にも考えていなかったことに今更ながら気づいた。


改めて「用は何?」と尋ねられると……なんて答えればいいんだろう。


黙り込んでしまったわたしを、根岸先輩が見つめているのがわかる。


次の言葉を待っているのがわかって、かえって焦ってしまう。






だけど。


ちゃんと自分の気持ちを伝えなくちゃ。


今度はわたしがちゃんと、伝えなくちゃ。


答えなくちゃ。


ふぅ、と小さく息を吐いた。








「……根岸先輩に、会いにきました。

 ……あの絵を見て……先輩に会いたくなりました」


そう言って、精一杯の笑顔を見せた。