一学期の期末テストも終わり、夏休みも目前に迫っていた。


根岸先輩は、約束どおり学校に戻ってきた。


家庭の事情を学校側に汲んでもらい、特例としてアルバイトも公認してもらえた。


だけど、美術室には顔を出してくれなくて。


あの日、根岸先輩に告白されたあの日以来、わたしたちは未だにあまり言葉を交わしていない。


「ひなちゃん、順調?」


後ろからわたしのキャンバスを覗き込みながら声をかけてきたのは、生川先輩。


「あと一息ですね」


「来週には搬入だからな」


自分のキャンバスに向かいながら浅野先輩が呟く。