そんな過去があったなんて、全然知らなかった。
根岸先輩のこと、全然わかってなかった。
この人は、今までどれほど傷ついてきたんだろう。
どれほど、辛かったんだろう。
そんな経験を、わたしに打ち明けてくれた。
きっと、話したくなかったはずなのに。
わたしを安心させるためだけに。
考えるほどにとうとうこらえきれなくて、涙がほろりとこぼれ落ちた。
慌てて涙を拭う。
「だから、俺のことは心配するな。大丈夫だから。退学だってしないし、安心して住める場所も見つけたし」
先輩はそう言って、にたりと笑った。
その言葉を聞いて、ほっとしたのと同時に、少しチクリともした。

