それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜



……しちゃった。


間接キス。


わたしが一人でどぎまぎしている隣りで、根岸先輩はなんでもないふうに涼しげに座っているのが、なんだか少し悔しかった。


自分だけが子どもみたいで。


ペットボトルをぎゅっと握りしめた。


「親がそんなだから、俺、昔、けっこう荒れててさ。

 高校上がったばっかの時、喧嘩してぼこぼこになってぶっ倒れてたところを、おやじさんが助けてくれた。

 そん時にさ、笑えるんだけど、腹が鳴ったんだよ。俺、いっつも腹、空かしてたんけど、そんなぼこぼこの状態でも、腹って鳴るのな。

 それで、おやじさんがこれ作って俺に食わせてくれてさ」


そう言って、カツサンドの入っている紙袋を指差した。


「めちゃくちゃ、うまかった。夢中で食って、食ってるうちに泣けてきて。

 なんつうか、生き返った感覚だったな」


先輩は視線を落としたままにやりとした。