「……俺さ、なんつうの?人間不信ってやつ?
両親は早くに離婚してるから父親の顔、知らねぇし、母親はとっかえひっかえ男を変えるわ、金遣い荒いわ、ほんと最悪でさ」
根岸先輩は自嘲気味に笑う。
「この間も俺が稼いだバイト代、母親が盗もうとしてた。
それを取り返そうとしたら、母親の男が現れて、ぼこぼこにやられたんだよ」
そう言うと、ギブスのはめられた左腕をわたしに見せた。
その傷だったんだ。
『だから人は信用できねぇんだよ!』
わたしが告白した時、根岸先輩が「だから」って叫んだ言葉の意味は、そういうことだったんだ。
「もう、やってらんねぇって思った。学校もやめちまえって思った。早く自立して邪魔者が来ないところで暮らそうって思った」
「先輩……」
だから、退学届……。

