「くそっ」


根岸先輩は怒りをあらわにして、そばにあった椅子を蹴り上げた。


すると、その椅子が宙を舞い、わたしの顔面向かって飛んできたのだ。


とっさに顔を守りながら背を向けると、椅子が肩に直撃した。


「痛っ」


思わず声が出てしまった。


「大丈夫?」


浅野先輩は、すかさずわたしに駆け寄る。


「は、はい。わたしは大丈夫……」


それより。


「おい、根岸。なにがあった?」


わたしが聞きたいことを、浅野先輩が聞いてくれていた。


とても心配そうに。