「じゃあな」
根岸先輩は、有無を言わさずその場から去った。
そして、わたしの肩に手をまわしたまま、
「悪かった。だけど、その角を曲がるまで、このままでいさせてくれ」
と、わたしの耳元でささやいた。
「う、うん」
根岸先輩と密着したまま大人の街を歩く。
制服を着たままのわたしは、あの女の人が言ったとおり、どこからどう見ても子どもで。
この街には不釣合いで。
隣を歩く普段着の根岸先輩は、同じ高校生なのに、とても大人びて見える。
そんな先輩に、また、胸がきゅんとして。
わたしの心臓は、落ち着くということを知らないみたい。
ずっとずっと、どきどきしっぱなし。

