根岸先輩は、ビルの隙間から顔だけ出して、もう一度左右を確認した。 「よし。行こう」 わたしは、根岸先輩の後ろをついていった。 目の前には、根岸先輩の広い背中。 守ってくれた、背中。 強かった。 強かった……けど。 やっぱり根岸先輩は、わたしとは住む世界が違う人なのかな。 だって。 ここに根岸先輩がいるのが、何よりもの証拠なわけで。 根岸先輩は、どうして、ここにいたんだろう。 あの、いかがわしいビルに行く途中だったのかな。