だけど柾樹も浴衣姿なわけで、隣で私の顔に手を置く彼を見てしまう。
はだけた浴衣から覗く鎖骨。
濡れた髪から滴る水滴。
「まっ…柾樹はいつ上がったの?」
「あー30分くらい前?」
って!
だから冷たいんだよっ!
柾樹の手が冷たいのは私のせいなんだっ!!
「ね?部屋戻ろう?私ならもう大丈夫だから…髪乾かさないと柾樹冷たいよ…?」
「大丈夫だって。後で彩音に暖めてもらうし」
長椅子から立ち上がって手を掴む私の耳元でボソリと呟いた柾樹は私の腰を抱く。
それに一気に恥ずかしくなって、少し引いた熱がまた顔に集まってしまう。
「あっ!ねぇっあの人だよ!!かっこいいって言ってた人!!」
そんな私達に大声が聞こえてきて、そちらに振り向けば。
「…あ」
大浴場から出てきたのはさっきの女の子3人組みで、私達の方を見ている。
…その視線の先は柾樹で。
あの子の言っていたかっこいい人が柾樹なんだとこの時気付いた。


