お風呂から上がった時には、顔が真っ赤になっていた。
ヤバい…
浸かり過ぎた…
露天は寒いからついつい入り過ぎたんだ。
浴衣を着てフラフラになりながら、脱衣場を後にした。
出て直ぐに自販機があるから、そこでミネラルウォーターを買う。
ひんやりしてて、顔にあてたら気持ちいい。
「…大丈夫か?」
自販機の前でミネラルウォーターを顔に当てる私の背後から聞こえるのは柾樹の声。
そのまま柾樹に体重を掛けて、火照った身体を委ねる。
あー柾樹の手…気持ちいいかも。
少し筋張った手は氷みたいに冷たくて…
…………ん?
冷たい?
バッと勢いよく後ろに振り返れば頭がくらくらした。
「…お前バカか?のぼせてんのに勢いよく振り返るな」
そう言った柾樹は呆れ顔で、そのまま私の手を引いて大浴場の入り口にある長椅子に腰掛けた。


