「ちえが悠士君もらうから。覚悟してね」


にっこりと笑って言いたいことだけ言ってリビングに戻っていった彼女。


“飽きる”


その言葉、私は嫌い。
悠士が飽きる事なんて…


「…そんな事…あるわけないじゃない」


廊下で呟いた言葉は、自棄に響いた気がした。


…料理くらいできる様になってやるわよ。


あんな女に悠士は渡さない。


ぎゅっと握った拳は、爪が長くて少し痛かったけれど。


冷房のきいていないここと同じように、私の身体が熱を帯びる。


それは私の心に、メラメラと闘志の火が宿った瞬間だった。


【闘志】

*END*