まぁいいか。


「今から妃芽の家に行こうか〜?」


「えっ!?」


「妃芽のお母さんに久々会いたいし〜」


ぎゅうっと手を握れば、握り返される喜び。


俺はもう逃さないから。
あの時みたいに何も出来ないガキじゃねぇ。


覚悟して、待ってればいい。


榎並が好きなんて、言わせないから。


さっさと俺の元に来いよ…?


そう意味を込めて微笑めば、つられて笑う彼女を愛しいと思った。



こんな暗闇の中、こんなにも恋い焦がれていた君に再会出来た事を感謝したい。


神様はいるのかもしれない、なんて思えた夜だった。


月明かりに照らされた俺達の影は、仲良く重なっていた。


【恋い焦がれて】

*END*