「さ、喉も満たされたしそろそろ行くわよ」


カタンと席を立つ美菜はコートを羽織る。
バンビ柄のファーコートを。


…やっぱ目立つな。
美菜が席を立てば集まる視線はほぼ男の人から。


「えっ?どこに!?」


「買い物よ。買い物。何言ってんの?」


当たり前でしょって顔した美菜は足早に店内を後にした。


足がもうくたくたで、今日ヒールの高いブーツを履いて来た事を少し後悔した。



一度外に出れば一気に体が冷える。
この温度差にやられて風邪、引きそう。



「見て彩音」


「あ…」


サンタクロース。
と、トナカイ。


交差点にいるのは、サンタとトナカイの着ぐるみを来たティッシュ配りの人。


携帯電話のキャンギャルもサンタの格好してる。


木に電飾が施されて、ショップのディスプレイは赤とか緑がメインになってる。


どこからともなく流れてくるのはクリスマスソングばかり。



まだ1ヶ月先なのに、街はクリスマス一色だった。