「あ、そういえば今度お店に出そうと思って新しいケーキ焼いたの」


彩音ママは一般家庭にはないような、業務用のような大きな冷蔵庫からケーキと紅茶を出してくれた。



「あ、ありがとうございます」


テーブルに置かれたケーキは栗とさつまいものタルトで、すっごく美味しそうだった。


「この子、今家にいないから食べ手がいなくて困ってたのよ〜」


「だからーバイトのお姉さん達に試食してもらえばいいじゃん!」


「だって…バイトの子達太るって言ってなかなか食べてくれないのよ。だから…」


「いや、私だって太るから!!」


彩音はそう言いながらも、出されたケーキを食べて感想を言っていた。



後に聞いた話だけど彩音ママはケーキ屋さんを経営しているらしい。


しかも地元では行列ができるちょっとした有名店だという。


悠士はいっぱいケーキを食べれて喜んでいたけど、私は彩音の“太る”という気持ちも少しわかった。