美菜side




車で彩音ママが迎えに来てから、30分くらい走った所は閑静な住宅街だった。


その中でも一際目立つ大きな輸入住宅のような家。


そこで車は止まった。


「急だったから散らかってるけど、ゆっくりして行ってね」


彩音ママはまるで彩音の姉のように若い。


「本当いきなりすみません」


「…美菜、私の方こそ本当にごめん…先にお風呂入って来てぇ」


彩音はしゅんとして申し訳なさそうに私を見つめる。


帰りの車の中で事のいきさつを話した彩音は、こっぴどく怒られていた。


見た目は若いといえど、そこは母親の姿だった。


「いいのよ~ったくこの子本当にドジで…誰に似たのかしら」

朗らかに笑う彩音ママは、笑顔には似つかわしくない言葉を吐いていたけれど。