用意を済ませて玄関を開けると、なぜかそこには悠士と美菜がいた。


「何してんだ?」


率直にそう思う。


別に今日は遊ぶ約束なんてしてないし、第一彩音がいない事くらいこの2人も知ってるハズだ。


「あっれ~?柾樹クンどこ行くのカナ~?」


わざとらしい悠士の声が少しイラっとしたのは言うまでもない。


「てかなんでいんだよ…」


ニコニコ顔の2人の顔を見るだけで、言いそうな事はだいたい想像できるがあえて言わない。


「今日って彩音の同窓会でしょう?いいの?そんな所に彩音1人で行かせちゃって。飢えた男どもの餌食になるわよ~」


そう言ってケラケラと笑う美菜は、俺を肘で小突いてきて相当ウザイ。



そんな事わかってるけど同窓会行くなとか格好悪すぎて言えないだろ。


だから彩音に言った嫉妬させるなという言葉は俺の小さな警告。


「てか柾樹その大荷物、何?」

俺の左手にある彩音の大きな忘れ物に悠士が気付いて指を指した。


「…彩音の忘れ物」