「んじゃぁ、なんか俺邪魔みたいだし藍とこ戻るな。また同窓会連絡するから」
そう言った陸君は、携帯を開いて電話をしながら校舎の中に消えて行った。
「で?誰アイツ」
柾樹は私の手を逃がさないぞ、とばかりにがしりと握って聞いてきた。
私はと言うと、こんな状況なのに普段自分から手を握ったりしてこない柾樹に、今は握っているという少しの喜びを感じた。
「だから、ただの同級生だって」
「お前はただの同級生にこんな事させんの?」
そう言いながら私の頭を撫でる柾樹。
いや確かに頭ぽんって軽くしてたけど、柾樹とはまったく違うさわり方だった。
柾樹は頭の上から髪の毛をとかしながら毛先までゆっくり触ってる。
…このさわり方はベッドの中で柾樹がしてくれる撫で方で
それを思い出した私は顔が赤くなる。
「陸君はこんな風にしてないよ」
「てか、顔赤いけど?」
大丈夫?って顔で私の顔を覗き込む。
「…赤くないもん」
「俺以外に触らせてんなよ」
恥ずかしくて俯いた私に、そう言って再び頭をぽんっと撫でた。
今度は普通のさわり方だった。
「…え…?」
柾樹の言葉にドキっとした私だったけど、柾樹が行くぞって言ったから、慌てて追いかけて手を握った。


