私はそれに倣って柾樹の方を向く。
はぁ。
ため息一つ。
「俺は知ってたぞ。ちゃんと聞いてなかったのかよ?」
…なんか呆れ顔というか…
やっぱりなみたいな顔してる…
「聞いてなかった…デス」
私はしょんぼりとしながら再び椅子に座った。
「…相変わらず抜けてんねー
平山ちゃんは」
…ん?
不意に聞こえた声とほぼ同時に、頭の上に誰かの手が置かれる。
一瞬にしてこの場の空気が変わった。
明らかに…私の隣から負のオーラを感じる。
隣に座っている柾樹の顔を横目で盗み見すると、強張った柾樹の顔。
確実に見た。
…何その顔…
後ろを振り返って私は再びびっくりした。


