ユナちゃんからの電話を終えるとあっちゃんは、幸せで寂しそうな、複雑な顔をする。
せっかく遠出して大型海水プールにまで来ているというのに。
あっちゃんがそんな顔をしてると、私も元気がなくなるよ……。
大人や子供。周りの人たちの楽しげな声から、私たちの居場所だけ切り取られた気がする。
あっちゃんがユナちゃんに片想いをしていることを、私はもちろんミサキも知っていたけど、ミサキはそんなの知ったことかという様に顔をしかめ、あっちゃんに言った。
「あっちゃんさ、男友達いないの?
ていうかさ、ユナって女、彼氏いるくせにあっちゃんにばかり頼りすぎじゃない?」
「……ああ。なんつーか、男は好きじゃねーんだわ。
ユナはいつものことだし、もう慣れた」
あっちゃんは曖昧な笑顔を浮かべる。
ミサキはミサキで、あっちゃんのことを心配してるんだ。
「彼氏持ちの女に深入りするなんてあっちゃん馬鹿だよ。痛い目見るだけじゃん。
ボランティアなみにお人よしすぎる」
「よく言われる」
ミサキの辛口にもめげず、あっちゃんはへへへと笑っている。