「お、おはよう」 「ね。今日物理室、一緒に行かない?」 「え? あ……」 そっか。1限目物理…… ちら、といつも一緒に行く友人を見ると、軽くウインクして手を振っていた。 「……うん、行こう」 私は荷物を取り出し笑みを返した。 ――― 二人で課題の事を話しながら教室に向かう。 「あ」 小さな、小さな呟くような声。 それなのに私の耳は、はっきりとそれを聞き取った。 ちら、と斜め前を見遣る。