ふと、まだ誰も座っていない隣の席を見た。 『笠原さんの事好きなんだ』 こんな私に、そう言ってくれた村瀬くん。 村瀬くんを好きになったら、この思いをしなくて済むのかな。 ……なんて。 「最低」 村瀬くんを逃げ道しようとした私に嫌悪を覚えた。 いっそ、自覚しなければ良かった。 幼なじみとしての「好き」でいられたら良かった。 「おはよう」 不意に声が聞こえる。 パッと顔を上げると、村瀬くんが微笑んでいた。