「ナナセ君、ミズキのこと送ってくれてありがとうね。
これ、良かったら持っていって?
今日も、ご両親留守でしょう?」
「あ、いつもすみません。助かります。
ありがとうございます」
ナナセは、菜月が持たせてくれたおかず入りのタッパーを照れながら受け取る。
菜月は、ナナセの両親が留守がちだと知っていたので、時々こうして、夕食で作った物をナナセに手渡している。
「ナナセ君、今日も送ってくれてありがとう」
いつもと同じ口調なのに、今日のミズキは今まででもっとも可愛かった。
ナナセはキスのことを思い出してしまい、目を伏せ頬を赤く染める。
この日の夜、ナナセはミズキのことを考えて一睡も出来なかった。


