しゃぼん玉


ナナセの腕の力に、ミズキは胸の高鳴りと安らぎを感じた。

「メイちゃんにも、こんな安心感を与えてあげたい。

心の奥から人を信じる幸せを、かみしめさせてあげたい……」

「そうだね」

「私に、できるかな?」

「できるよ。ミズキちゃんは、立派な姉だもん。

弱った時は、またこうして、抱きしめてあげるから……」


ナナセの声は緊張で裏返っていたけど、ミズキは元気が湧いてきた。

その勢いにまかせて体を動かし、ナナセの方に顔を向ける。

「ナナセ君、大好きだよ。

ずっと、一緒にいてくれる?」

「うん。ずっと、一緒……だよ」


ミズキの顔が近すぎて、ナナセは目をそらしてしまう。

ミズキは、ナナセの顔を両手で優しく挟んだ。

「ナナセ君、覚えてる?

今日ね、付き合いだして1年目の記念日なんだよ」

「そうだったね!」


最近バタバタしていて、二人は恋人同士のイベントを出来ずにいた。

クリスマスやバレンタインも、流れてしまって。

口約束していた旅行も、いまだに行けていない。


一年前の今日、シュンやマナと一緒に行った遊園地。

ミズキはナナセに告白をして、二人は付き合うことになった。

「ナナセ君。私ね、今もあの時と同じ気持ちだよ。

ナナセ君が好き……」

ミズキはナナセの頬に触れたまま、うつむいて顔を赤らめる。

「俺も去年と一緒だよ。

ううん、付き合ったばかりの頃より、ミズキちゃんのこと好きになってる……」