『愛』とは何なのだろう。
菜月は優しい声で、自分の考えをメイに伝えた。
「そうね……。
見返りを求めない親切や行動が、愛だと思うわ。
ただ、与えたいって思う心」
「見返りを求めない……?」
「難しいことだけど、誰かに対してそういう行いをできる人は、愛情豊かなんだと思う。
例えば、ゴミ拾いのボランティア活動も愛に入るんじゃないかしら。
お金なんて一切もらえないし、逆に掃除する場所に向かうまでの交通費がかかったりする。
それなのに、ボランティアに参加する人達は、ただそこに住む人達が気持ち良く過ごせるようにと願って、ゴミを拾っているでしょう?」
「……リクは、私を愛してると思う?」
菜月は微笑ましい気持ちになる。
リクの日頃行いを思い出し、メイの疑問に答えた。
「愛してると思うわよ。
リク君は、メイのために、自分のことを省みずいろいろしてくれてるもの。
お母さんは、そう思うわよ」
「でも、私達は男と女。
付き合ったら必ず体の関係になる……。
それは嫌……。
でも、リクがいなくなるのも嫌……」
どうしていいのか分からず、メイは大粒の涙を流した。
菜月は悲しそうに目をつむり、メイを抱きしめる。
「メイは、リク君のことを好きになったのね」
菜月の声が柔らかくて、メイはよけいに切なくなった。


